■こんな本を読んだ −−2007年6月


◎椎名誠『まわれ映写機』幻冬舎文庫
映画にまつわる回想と劇場版『ガクの物語』の顛末記。著者は作家歴より映画歴のほうが長いんです。

◎宮本照夫『ヤクザが店にやってきた』『それでもヤクザはやってくる』共に朝日文庫
「暴力団関係者は出入りお断り」を貫く飲食店経営者と暴力団(員)とのエピソード集。

◎宮崎哲弥・川端幹人『事件の真相!』ソフトバンククリエイティブ
気鋭の評論家と元「噂の真相」編集者が、政治から世相までメッタ切り!

◎斉藤美奈子『それってどうなの主義』白水社
◎斉藤美奈子『あほらし屋の鐘が鳴る』文春文庫
このところ気になっている評論家のコラム集。あの辺見庸氏にも苦言を呈する潔さに感服します。

◎パオロ・マッツァリーノ『つっこみ力』ちくま新書
メディアリテラシーなどとこざかしいことでなく、日本人は「つっこみ力」を持てと、脱力しながら力説。

◎内澤旬子『世界屠畜紀行』解放出版社
世界各地の屠畜(著者は「屠殺」とはいわない)現場を訪ね歩いたイラストルポ。

◎勝谷誠彦『イラク生残記』講談社
日本人外交官が襲われた現場を踏み、フセイン元大統領が隠れていたとされる穴にもぐり、イラクの実態を報告するルポルタージュ。

◎山本美香『ぼくの村は戦場だった。』マガジンハウス
アフガニスタン、ウガンダ、チェチェン、コソボ、イラクと紛争地域を取材し、そこに住む人々の姿と肉声生々しく伝える。

◎藤原新也『なにも願わない手を合わせる』文春文庫
兄の死と向き合うために四国遍路した旅の記録。偶然出会った数々のエピソードが、深いです。

◎宗田理『13歳の黙示録』講談社文庫
不良少年は理解者である担任教師をなぜ刺したのか? 著者独特の切り口で「殺すな!」と訴える。

◎恩田陸『図書室の海』新潮文庫
◎恩田陸『Q&A』幻冬舎文庫
前者は、恩田ワールド全開の短編集。後者では、問いと答えの会話だけでミステリアスな事件の様相を描く。徐々に恩田ワールドにはまりつつあります。

◎伊藤たかみ『ミカ!』文春文庫
娘にあげる前提で買った本。思春期の男女の心の揺らめきを描いた作品が好き。読んでて胸キュン!(死語)です。

◎山中恒『おれがあいつであいつがおれで』理論社
で、胸キュン物語をもっと読みたくなって、娘から借りて再読。ちなみに、これが原作の映画『転校生』リメイクにあわせて、再び文庫化されました(角川文庫)。

◎ジョシュア・デイビス『負け組ジョシュアのガチンコ5番勝負!』ハヤカワ文庫
ガリガリ体型なのに(参加者不足のため)世界相撲選手権の全米代表になり、その後なぜか闘牛士や後ろ向きマラソンに挑戦し…。マジメに考えて突飛なチャレンジをする、そのアンバランスぶりが愉快。

◎恩田陸『ネバーランド』集英社文庫
4人の男子高校生の秘密めいた濃密な数日を描いた作品。もうダメ。設定も展開も登場人物のキャラクターも、全部ぼくのツボ。読み終えてハーッとため息。至福の時でした。

◎小林朋道『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!』築地書館
自然に囲まれたキャンパスで、人間動物行動学を研究する大学先生の著書。身近に出会った生き物たちとのエピソードを綴った文章ですが、その語り口が秀逸。
野生化したアナグマの子どもに囲まれる幸運?に恵まれながら、どうしても抱きたいという思いにかられ、手を伸ばしたところで逃げられる。湖の真ん中にある島の調査には、体力のある学生を「勉強になるぞ」といって用心棒として連れて行く。野生のタヌキに発信器をつけて行動監視をすれば、学生には「費用がかかるから、必要以上にチェックしないように」といいつつ、自分は夜中に何度もチェックして、夜道を歩くタヌキを想像しながらニンマリする。
……著者のそんなおトボケ具合が、何ともユーモラスです。

◎その他、ちょっとした時間に再読した吉村昭作品。
『羆嵐』『漂流』『破船』『冷たい夏、暑い夏』『鯨の絵巻』『魚影の群れ』『海馬(とど)』いずれも新潮文庫。


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