■こんな本を読んだ −−2016年2月

◎川名壮志『謝るなら、いつでもおいで』集英社
佐世保小六同級生殺害事件の被害者と家族同然の関係にあった記者が綴る事件の実相。報道する側とされる側の狭間で苦悩する様が痛ましい。

◎一橋文哉『モンスター 尼崎連続殺人事件の真実』講談社
猟奇的な事件の全体像に迫るルポルタージュ。善良な人々が邪悪に対して弱みを見せてしまうと、容易に飲み込まれていく。その過程がおぞましい。

◎原田実『江戸しぐさの正体』星海社新書
「傘かしげ」などで知られる「江戸しぐさ」はねつ造だ!と論証する驚きの書。これほどうさんくさいものだとは露知らず、「日本の美徳」みたいに信じ込んでいた自分って……と愕然とした。

◎千松信也『ぼくは猟師になった』新潮文庫
◎北尾トロ『猟師になりたい!』信濃毎日新聞社
猟師になるまでと、なってからのあれこれを綴る二つのエッセイ。猟師の日常や生活に興味あり。岡本健太郎のコミック『山賊ダイアリー』(講談社、イブニングKC)も全巻持ってます。

◎椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』新潮社
あのシーナマコトが、老境に入り「死」について考察している、ということが感慨深い。

◎石井光太『飢餓浄土』河出文庫
「人食い日本兵の亡霊」「奇形児を突き落とした産婆」「人間の死体を食い漁る野犬……」「棄民たちの世界を象るグロテスクな『幻』が露にする、戦場・密林・路上の実像」(著者のHPより引用)

◎石井光太『絶対貧困 世界リアル貧困学講義』新潮文庫
一日一ドル以下で生活する「絶対貧困者」は、どこに住み、何を食べ、どのように収入を得るのか。世界各地で地を這うような取材をしてきた著者のリアルなレポート。

◎柳澤健『1985年のクラッシュ・ギャルズ』文春文庫
一時代を築いた女子プロレスユニットの光と影を容赦ない筆致で描く。明も暗もひっくるめて、女子プロレスは魅力満載。

◎荒俣宏『荒俣宏の20世紀世界ミステリー遺産』集英社
石原慎太郎のネッシー探検隊、オリバーくん、呪われた館、首狩り族、死海文書などなど、うさんくさかったりオカルトじみた奇妙な事件・史跡にまつわるエピソード集。

◎小室哲哉『罪と音楽』幻冬舎
ミュージックシーンの寵児となりながら詐欺事件で有罪となった著者の贖罪の手記。

◎アーロン・ラルストン『奇跡の6日間』小学館
ロッククライミング中に落石に腕を挟まれて身動きが取れなくなった著者が、過酷な状況を生きのびて脱出するまでを綴った手記。

◎ラリー・ジョンソン+スコット・バルディガ『人体冷凍 不死販売財団の恐怖』講談社
不死の技術が開発された後に再生することを目的とし、人体冷凍を行っているアメリカの財団。その非人道的な実態を暴く告発の書。

◎プーラン・デヴィ『女盗賊プーラン(上下)』草思社
時代錯誤な因習が存続し理不尽な暴力が常態化しているインドの貧困層に生まれ、数奇な運命を辿った女性の自伝。今でも性差別や虐待がまかり通るインド社会から、第二、第三のプーランが生まれるのか。

■以下は小説作品。コメントなしでご容赦ください。
◎五十嵐貴久『誘拐』双葉文庫
◎白東虎『シルミド』幻冬舎
◎垣根涼介『君たちに明日はない』新潮文庫
◎荻原浩『オイアウエ漂流記』新潮文庫
◎楡周平『ガリバー・パニック』講談社文庫
◎伊藤たかみ『フラミンゴの家』文春文庫
◎似鳥鶏『午後からはワニ日和』文春文庫
◎小川一水『群青神殿』朝日ノベルズ
◎恒川光太郎『草祭』新潮文庫


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