大道芸パスポートって?



 大道芸などパフォーマンスに関心を持っているfutabaさんに、
 東京都の「ヘブンアーティスト」制度について、意見を伺いました。
 なお、文中で「投げ銭は禁止」とありますが、これは勘違いでした。




2002年8月5日
うめざわ → futabaさん

こんにちわ。夏バテしてませんか。
ちょっと意見を伺いたいことがあるのでメールします。

先週、石原都知事の肝いりで、東京都認定の大道芸パスポートとかが発行されたと、ニュースになってました。
これを持ってれば、公園とか駅前広場みたいなところで、認められた場所(といったたように思います)でなら、いつ芸をやっても構わない、排除されない、というものでした。ただし、投げ銭を求めるのは禁止、とのこと。
これをどう思いますか。

ニュースのインタビューで、ある芸人さんが、「画期的なこと。長年待ち望んでいた。これで堂々と大道芸ができる」と喜んでいました。
テレビや新聞のニュースも、全体に好感をもって伝えていました。
たしかにいうとおり、警察やらなにやらにごちゃごちゃいわれないで芸ができるのは、演じるほうにも見る方にもいいことですよね。

でも、これが大道芸人の選別につながらないか、と思っちゃうんです。
パスポートを手にすることができなかった発展途上の人は、人前で演じちゃいけないと。でも、人前で恥をかきながら腕を磨く、ということもあるんじゃないですかね。
あと、「芸人にそんなもんいるかい、ケッ」とそっぽを向いた人。たとえばの話、ギリヤークさんはきっとパスポートくれなんていわなかったと思うんです。こういう人を、逆に、あんたは無免許だからダメダメ、と排除するようになりはしないか。
それと、投げ銭禁止っていうのはどうなのかなぁ。

石原さんの意図はまあわかるんだけど、役人とか、その周辺の人々が、はたして大道芸とかパフォーマンスに理解があって、パスポート制度を前向きに、効果的に運営するのかどうか、ちょっと心配なんです。

おひまなときで結構なので、ご意見伺えたらありがたいです。



8月12日
futabaさん → うめざわ

ご連絡が遅くなり失礼しました。

大道芸パスポート、“ヘブン・アーティスト”をyahoo!のニュースで数行の記事で知ったときは、下記のことを思い浮かべました。

<悪い思い>
・大道芸は町の中で自由に行われるものであり、パスポートはいらないだろう。
・自由にやっている人達が排除されていくのだろうか。
・外国人の大道芸人は、パスポートの申請ができないだろうなぁ。
・これからもっと、大道芸に関する警察の取締りが厳しくなるのだろうか。
・軍国主義が台頭したら、パスポートを持っている芸人達の掌握、排除はラクだろうなぁ。

<良い思い>
・萩本 欽一さんなど著名人に芸を見てもらえることは幸せだなぁ。
 芸人としての道が開けるかもしれない。
・色々な人に芸をみてもらって評価されることって大事だよね。
・パブリックな場所で堂々と芸ができるのはいいことだ。

こんな感じでした。

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うめざわさんからのメールをもらい、投げ銭なしということを聞いて驚きました。
大道芸に投げ銭がなくなっちゃあオシマイヨ、ってな感じで。
商売あがったりじゃん。
それで、ネットで調べてみました。

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ヘブンアーティスト出演者募集  (生活文化局文化振興部事業推進課)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2002/04/20C4J300.HTM

(一部抜粋)
1 応募資格  ”東京”を拠点に、音楽やパフォーマンス等の分野で活動している
        新進・若手アーティスト(ジャンルは問いません)

2 活動場所
 (1)公園 / 上野恩賜公園、代々木公園、井の頭恩賜公園、光が丘公園、
         シンボルプロムナード公園
 (2)都営地下鉄大江戸線 / 都庁前駅、新宿西口駅、上野御徒町駅
 (3)都庁 / 都民広場、展望室
 (4)その他 / 東京体育館前広場、江戸東京博物館  ほか

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上記で概要をみると、
全般の大道芸(若者のギターの弾き語りも含むとする)へのパスポートというより、公共性かつイベント性が強いもののような気がしました。
投げ銭に関しても、原宿のホコテンに出ているバンドの人達は投げ銭をもらいませんよね。
その感覚に似ているのかと思います。

大道芸の二分化という感じで、パスポートを持たずに投げ銭をもらう芸人とお金はいらないからボクたちの音楽を聞いてよ、踊りを見てよという人達とにわかれると思います。
いい形で存在しあえるならば、街の中に音楽などが溶け込んでいきよいのではないでしょか。
未発達なギター弾きとかはパスポートなしで歌えばいいし、そうやってうまくなっていき、パスポートをもらいたいなら応募すればいい。
ただ、警察がパスポートの有無に基準をおき、大道芸人を取り締まる方向にいくのは怖いことだと思います。

石原知事自身が芸術家(あまり好きじゃないけど)であるので、他の役人さんがどう思っているかは分かりませんが、効果的に運営するかどうかは、パスポートをもつアーティストたちの活動とそれを受け入れる街の人達の様子にも左右されると思います。
財政的にも、あまり負担のない企画だと思うので、すぐにポシャリはしないと思います。
(ニューヨークやヨーロッパのような文化都市的なイメージも作りたいんでしょうね。仲間入りしたいのでしょう。)

また、アートに関して、行政に積極的かつ効果的な運営を行われては逆に怖いです。
戦争の時だって、音楽、絵画、書物、どれだけのアートが悪いほうに利用され、国民の心をさらっていったか。。。
土台作りぐらいだけで、あとはアーティストたちが精力的に活動を行える状況であればいいのではないでしょうか。


8月12日
うめざわ → futabaさん

「ヘブン・アーティスト」についての意見、ありがとうございます。

それでなんですが、勘違いをお詫びしないといけないです。
「投げ銭禁止」と書いたのは、致命的な間違いでした。

  活動場所は上野、代々木、井の頭など5つの公園、都営大江戸線新宿
 西口駅など3駅や都庁展望室など。ほかに銀座の歩行者天国も検討して
 いる。投げ銭はOKだが、アンプや火気、刃物は騒音・安全対策上使え
 ない。
  産経新聞web 5/22「大道芸にライセンス」
  http://www.sankei.co.jp/news/020522/0522bun026.htm

上の通り、投げ銭はOKでした。ニュースで聞き間違えたようです。
ごめんなさい。
あと、パスポートではなく「ライセンス」というんですね。
あいまいに理解していて、お恥ずかしい限りです。

> また、アートに関して、行政に積極的かつ効果的な運営を行われては
> 逆に怖いです。
> 戦争の時だって、音楽、絵画、書物、どれだけのアートが悪いほうに利用され、
> 国民の心をさらっていったか。。。

アーティストが選別される恐れもあるけど、いちばんの気がかりはこれですよね。
有事関連法案が通ったりして、なんだか危なっかしい雰囲気になったら、反戦パフォーマンスが禁止されるようになるんじゃないか……と。
主旨は主旨として理解して、それがよい方向に運営されていくように、注視していくことが必要なんでしょうね。
“文化都市”東京に住む者としては。
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