07/4/6 トップの瓦解

 言葉が軽い。行動が軽い。当事者意識が乏しく、危機意識がない。現実感がなく、想像力も欠けている。
 ふだん「近ごろの若い人たちは…」などと言っているだろう、リーダー世代のこんな体たらくを見せつけられては、もはや言うべき言葉を失ってしまう。

 「自衛官は人殺しの練習をしている」「警察官は人を痛めつける練習をしている」と、唖然とする発言を続ける埼玉県知事が、こんどは記者会見の場で、共産党は悪意を持って県政を批判する「邪党」だと言ってのけた。これが埼玉県政のトップ。

 東京都知事選挙では、現職優勢の情勢が揺るがないとか。女性やお年寄りや身体障害者に差別的な発言を続け、公費の私的流用・身内の公職での優遇を批判され、教育行政で現場の実情を黙殺し上からの押しつけを繰り返している御仁が、再び東京都政のトップに立ちそう。

 「ナントカ還元水」の問題は、なんとなくうやむやになりつつある。「女性は子どもを産む機械」発言も雲散霧消。ライブドアの堀江社長を「我が子のよう」と持ち上げた元自民党幹事長の責任は、一顧だにされない。そういえば、マンション耐震偽装問題はどうなった? これが日本政治のトップである国会のありさま。

 原発での臨界事故隠しが芋づる式に次々と発覚。西部球団のアマチュア選手への金銭授与の実態がボロボロと明らかに。関西テレビの番組のデータねつ造も、不二家の消費期限切れ原料使用問題も、つい最近のこと。どれもこれも、日本の代表的企業の無様さ。


07/1/30 女性は「機械」なのだとか

 柳沢伯夫・厚生労働大臣のびっくり発言。

「15から50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、機械と言うのは何だけど、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないと思う」

 先の大戦中の「産めよ増やせよ」を彷彿させる、国の大儀を庶民に押しつけるかのような時代錯誤な発想、女性を出産マシンと言い放つ女性蔑視観に唖然とする。
 いずれも容認できないが、加えて問題なのは、少子化についての認識を、完全に誤っていることだ。

 いまこの世の中にあって、女性が少子化対策のために「頑張」らなければならない必然性は、まったくない。そもそも国の人口を増やそうと考えて、子どもをもうけよう、出産しようということなど、ありえないのだ。
 あくまでも、自身のライフスタイルや家族観を実現させるため、言い換えれば個の幸福を追求するために、出産・育児を選択するのだ。
 少子化が進んでいるのは、つまりは子どもを産み育てることが、個人の幸福に結びつかないと考えられている、ということだ。

 実際に、子育て中の女性への社会的なサポートは薄く、たとえば仕事を続けたい、保育園に預けたい、という願いもなかなか叶わない。核家族社会では、一時的に子どもを預ける場もなく、髪をカットするにも苦労するのが現実だ。また、長引く不況下では経済的な負担も大きく、さらには子どもを狙った犯罪への不安も強い。
 そういった諸々のマイナス要因を取り除き、出産・育児に喜びを見いだせる社会を築いていくこと。そういう社会像を提案していくこと。それが対策として本道だと考える。少子化の要因は、個人にあるのでなく、社会にあるのだ。
(ただし、無理に子どもを増やそうとしなくてもいい、少子社会でもいいじゃないか、という考えも、ぼくにはある)

 女性が機械となって頑張ってもらうしかない、などとほざく人物が厚生労働大臣を務めているようでは、対策もへったくりもあったもんじゃない。
 安倍内閣の人材は、坊ちゃん育ちの首相をはじめ、浮世離れした世界でたわごとをほざく面々ばかり。吐き気がしそうだ。


07/1/22 議会解散で失職したのは「国の責任」!?

 茨城県の桜川市の前市議らが、「市議会解散で在任特例失ったのは法の不備だ」としての国を提訴した。

 合併特例法などに、住民による議会解散請求を制限する規定がないことから議員の地位を失ったなどとして、桜川市の前市議5人と現市議2人が、国に総額約2600万円の損害賠償を求める訴訟を水戸地裁に起こした。7人は、制限の規定がなかったことから出直し市議選が実施され、その結果、政治活動の自由が違法に侵害されたと主張している。
 訴状によると、同市は05年10月、3町村による新設合併で誕生した。合併特例法の「在任特例」の適用で、原告らは07年9月末まで在任する予定だったが、住民団体が「市議が多すぎる」として議会解散を請求。06年8月、住民投票で過半数の同意が得られたため、議会は解散し、原告は失職した。
 原告は、「在任特例は合併を推進するために核となる規定」とした上で、議員の増大を理由とした「らん用的な解散請求は当然予想されていた」と主張。議員の身分保障がされるかのような規定を設けながら、国が請求を制限しなかったのは「立法不作為に当たる」などと訴えた。
 提訴を受けて総務省市町村課は「法務省と協議して対応を検討する」とコメントした。

(毎日新聞、1月20日朝刊、茨城県南版)


 まさに保守王国の茨城らしい記事。茨城県人として、恥ずかしい。
 いったいどこを向いて政治をしているのか、前市議らに詰め寄りたい思いだ。

 おおむね「財政が厳しい」ことを理由に、市町村合併が進められた。なのに市町村議会議員は、在任特例でその身分を保障され、結果として過分な議員報酬が支出されることになる。多くの市民は、その言行不一致に理不尽を覚えているのだ。本来なら、合併と同時に選挙をして、新しい定員で議会を再構成すべきだ。
 そういう市民感覚を理解せず、市民の当然の権利の行使を「らん用的」と決めつける思考に唖然とする。既得権にしがみつくことだけを考える前市議らの、なんと浅ましいことか。

 万が一にも、原告勝訴の判決が出て全国に波及するようなことがないように願う。


うえへもどる▲

inserted by FC2 system