09/08/31  民主党圧勝


前評判どおりとはいえ、現実に目の当たりにすると「ホントに!?」と思ってしまうような、民主党の圧倒的勝利。
前回の小泉郵政選挙で自民党が獲得した議席(300)を上回る、308議席だもの。

「政治の行き詰まり解消は、自民党には期待できない」
「民主党の公約のほうが、自民党のものより国民受けがよかった」
「自民党への批判票が民主党に流れただけ」
見方はいろいろあるし、それぞれに裏付けもあるだろう。
ぼくが実感しているのは、なにをさておいても自民党のダメっぷりだ。
とくに選挙戦に突入してからの見苦しさは、かつてないものだった。

うちは毎日新聞を購読しているが、1面か社会面の定位置に毎日、自民党の小広告が載っていた。これが連日、民主党への批判ばかり。「民主党が政権をとったら、日本はダメになる」「国民イジメだ」といった内容。
衆議院って何? どんな政党があるの? というレベルの娘・中2でさえ、この広告はムカツク、といっていた。
政治ビギナーの子どもに反感を抱かせるようなアピールをしているようじゃ、有権者の支持を得ることなどあり得ないわな。

はたまた、投票当日の自民党の全面広告。
「日本を壊すな。」の大文字の上に、以下のコピー。

 景気を後退させ、日本経済を壊してはいけない。
 バラマキ政策で、子供たちにツケを残してはいけない。
 偏った教育の日教組に、子供たちの将来を任せてはいけない。
 特定の労働組合の思想に従う“偏った政策”を許してはいけない。
 信念なき安保政策で、国民の生命を危機にさらしてはいけない。

この時代錯誤のアジテーションには、もう笑うしかない。
日教組が教育を歪めている、なんて信じているのは、いまやロートル教育者かウルトラ右翼だけでしょう。むしろ、日教組って何?と感じる有権者のほうが多いんじゃないか。
「特定の労働組合の思想に従う」って、労組運動はもはや壊滅状態。有権者にはピンとこないよ。連合にしたって、いまや「労」働者のための「組」織じゃないし。
そもそも、「景気を後退させ」「バラマキ政策」を行ってきたのは、自民党さん、あんたたちだよ、と、読んだ人の大半が突っ込みをいれたんじゃないかしらん。

民主批判に終始する麻生さんの演説、怪文書、ネットアニメ、新聞広告、テレビ・ラジオCM…。そんなネガティブキャンペーンが、自身にとどめを刺すことになったのは、間違いない。
民主党の広告のほうが、よっぽど余裕があって、大人の訴えに感じたもの。

政治を悪くした張本人でありながら、説明も釈明も言い訳もせず、オレは間違ってない、あいつなんか何もできないダメなヤツだ、と悪口ばかり言うような人たちとは、もうおつきあいしたくありません。
そんな結果だと見るのが妥当だろう。



09/08/21  ヨシヒコが今おもしろい


DDTというインディープロレス団体がある。エンタメを取り入れ、笑いもアリの団体なのだけど、ここで今注目されているのが、ヨシヒコ選手だ。
お暇であれば、何はともあれ下の動画を観ていただきたい。


(11分)

観客を巻き込み、選手・団体上げてのクソ真面目なバカバカしさ。スゴイでしょ?
長年プロレスファンを続けていたぼくでも、この映像を見て、正直ビックリしましたわ。
アントニオ猪木がかつて、「ホウキとも試合ができる」(それだけの魅せ方を知っている)と公言していた。まさにそれを具現化しているわけだ。

ちなみにこの試合は、タッグタイトルへの挑戦者決定戦。
勝利したディーノ&ヨシヒコ組は、後日、タッグベルトを保持する飯伏幸太&ケニー・オメガ組に挑戦している。
飯伏、ケニーともものすごい身体能力を持ったレスラー。人間離れ(!?)したムーブを見せるヨシヒコとどう絡むのか、その1点だけでも必見だ。
上の動画でグッときた方はぜひご覧あれ。

下記のタイトルで、ニコニコ動画にあります。

KODタッグ選手権
飯伏&ケニー組vs男色&ヨシヒコ 前編/後編(12分/11分)



09/08/11  「ドナービジネス」


一橋文哉「ドナービジネス」を読む。

前半は、フィリピンで腎臓移植手術を受けたOL、娘に非合法の心臓移植手術を受けさせた母親、学費稼ぎのためにアメリカでエッグ・ドナー(卵子提供)のアルバイトをした学生、マフィアの監視下で臓器提供用の子どもを妊娠し続ける女性、の体験談が綴られる。

後半は、臓器売買や人体再生技術に絡む合法・非合法のビジネスの実態が描かれる。たとえば、「臓器を売って金を返せ」と迫る高利貸し、その臓器を転売するマフィア、中国で行われる死刑囚からの臓器摘出闇ビジネス、中絶された胎児の売買、再生臓器・クローンといったバイオテクノロジーの暗部…。

命を失いたくない、健康を回復したい、という切実な願いは、生命の危機に直面する状況に置かれた人なら、誰でも抱く。そのための手段が臓器移植しかなければ、ドナーを求めるのも当然の心情だろう。
それが合法的な手続きを経て行われるならまだしも、国際的にドナー不足で移植の順番待ちとなっている現状では、いつまでも待ってはいられないと、非合法を疑われる移植にすがる人もいることだろう。
そんな現状につけ込み、臓器マフィアが血も涙も法の縛りもないアングラビジネスを展開する。

誘拐した少女を“生体解剖”して、使える臓器−−心臓から皮膚まで−−をすべて売り飛ばす。不法入国した女性を軟禁し、第三者の受精卵を子宮に入れて妊娠させ、帝王切開で取り出した胎児を切り刻む。
梁石日が「闇の子供たち」で描いた人身売買や、帚木蓬生が「臓器農場」で描いた無脳症児ビジネスは、現実に行われているのだ。

科学技術の進歩が、人々に果てのない欲望を生みだした。
それは果たして、幸せなことなのか。
幸せだとしたら、それは誰にとってなのか。



09/08/11  プールに行くんだとさ


昨晩のこと。「あした○○たちと一緒にプールに行くんだ」と娘(中2)がいう。娘が呼びかけたのだそうだ。
「なに、明日? 台風が接近中で、明日関東付近を通過する見込みだぞ」
「そうなんだ…」
知らなかったことに唖然。食事前にテレビの気象情報を点けてたのに、見てなかったの? 出かけるというのに?
目的地の屋外市民プールは、自転車でざっと30分の距離。暴風雨の可能性がある状況で、「まあ行ってきな」といえるような場所じゃない。こういうことを、親(ぼくら)の承諾を得る前に、子ども同士で約束するってところが、困ったちゃんだ。○○ちゃんの親御さんも、よくもまあOKしたもんだ。
でもまぁ、どうせ雨で中止だろうと、そこは目をつぶることにする。

気象情報と台風情報をチェックする。どうやら直撃はなさそう。午前中は雨だが、午後にはあがり気温も高くなる見込み。
「で、約束は何時なのよ」
「9時に○○の家の前に集合」
「台風を警戒してプールが休みになってたらどうするんだ。とりあえず営業時間の9時になったら、やってるかどうか電話して、それから集合ってことにしなさい」
「わかった。でもプールの電話番号がわかならい」
「電話帳で調べろ!」
ということで、昨晩は集合時間変更のメールを打つところまで。

明けて今朝。空は曇天。台風の影響で北風が吹いていることもあり、やや肌寒い。でも、雨が降ってるわけじゃないから、行くなとは言えないなぁ。
逡巡していたら、「電話帳の使い方がわからない」と娘が訴える。
うんざりしつつ、業種別索引で調べてみろと伝える。
「…載ってない」
「…うん、ホントだ。じゃぁ市役所の項目に載ってるだろうから、そっちで調べてみな」
「何市を調べればいい?」
「プールの場所は知ってるんだろ」
「知らない」
うそっ。家族で行ったこともあるし、併設のテニスコートは部活の試合会場でもあり、学校から自転車で何度も行ってる。
「道は○○が知ってる」
「じゃあ○○ちゃんが行けなくなったらどうするのよ」
「……」
頭を抱えた。まず、この人の頭の中に、地図は入っていないのか。おおよその場所は知っているはずなのに、それが何市なのかわからないのか。行き方も知らないのに、みんなに「行こう」と誘ったのか。後から調べることも、天気予報を見ることもなかったのか…。

集合時間が迫ってきた。
しょうがなく、ぼくが電話帳で探して電話番号を教える。
電話した娘は「今日はやってるって」と晴れやかな表情。
うって変わって、ぼくと細君はうつろな表情。

これじゃまるっきり、近所の公園で遊ぼうと約束してる幼稚園児と同レベルじゃないか。
中学生のスキルって、こんなもんか。うちの娘は特に抜けているのか?

呆れ加減で仕事場に向かい、PCでウェザーニュースをチェックする。
台風はやや南に逸れ、影響は思ったより少なそう。ただ昼前後に最接近し、大雨と強風、落雷に注意しろとのこと。
お気楽な中学2年生女子4人組は、肌寒い中屋外プールに行き、大雨に降られ、それすらもおもしろ体験としてはしゃぎ、「ああ楽しかった」といいながら帰ってくるんだろう。
結果だけ見りゃ、それでもいい。だけど、もうちょっと段取りというものを考えることはできないのか…と、朝っぱらからため息ばかり。



09/08/10  「ホームレス作家」


松井計「ホームレス作家」「ホームレス失格」「家族挽回」と、3冊を立て続けに読んだ。

「ホームレス作家」は、夫婦関係の問題から家計が破綻し、著者がホームレスとなってしまったことの顛末と、作家復帰までを綴ったノンフィクション。
妻子を福祉施設に預け、自身は過酷な宿無し生活を続けながら、家族関係の修復と作家としての再起を望み続けた著者の心の有り様が、赤裸々に綴られている。同時に、福祉行政の理不尽さもありのまま語られる。

「ホームレス失格」は、前著刊行により収入と住まいの確保を果たした著者が、家族関係の修復を図ろうとする続編。
自身の生活は安定したものの、福祉行政の不可解な対応により、なぜか妻子との同居生活は叶わない。硬軟織り交ぜた交渉を続けるも、事態はこじれる一方。混沌とした状況のまま作品は終わる。著者自身の内面の変化が一筋の光明となっているが、この家族の先行きが気になってしょうがない。

上記2冊を読み終えたところで、その後が知りたくなり、著者名でネット検索してみた。すると著者のブログがあり、そこにしばしば子どもの話題が書かれていることがわかった。読む限り、比較的良好な関係のようだ。
「ホームレス失格」から現在までの数年間で、著者とその家族の間にどんな変化があったのか。著者が望む展開となっているのかどうか。
どうしても気になり、続々編というべき「家族挽回」という著作があることを知り、アマゾンで購入した(ユーズドです、はい)。

それが週末に届いたようで、仕事場に着いたら、新聞受けの中に入っていた。
朝イチですべき客先への対応をした後、すぐ読み始める。そのまま昼近くまでかけて読み終えた。
「…失格」から以降、著者は問題対応のあった福祉部署を避け、他部署や他機関を通じて妻子とコンタクトをとり続け、ついに子どもとの再会を果たすことができた。それから少しずつ、着実に、家族の形を取り戻しつつあるところで、本書は終わった。

著者ブログをもう一度読み直すと、どうやら「家族挽回」のエピローグが、現在まで続いているようだ。即ち、別居状態を続けたままで、週末には家族が揃って過ごす時間を持つ、という状況。ベストとはいえないまでも、絶望感しかなかった一時期より好ましい、ベターな関係となっている。
そのことに、ぼく自身も胸をなで下ろす。

この3作品は、あくまでも個人的なノンフィクションとして描かれているが、著者の意に反して、同時に社会状況をも描き出している。
今日の失業者の増加、ネットカフェ難民やホームレスの増加、家庭崩壊、福祉行政の閉鎖性。そして、高機能障害を抱える外見上は“普通”の人にとって、この社会の生活のしづらさ…(著者の妻は子どもの時に交通事故で瀕死の重傷に陥っており、その後遺症が残っている。おそらくその影響で、日常の基本的なことができなかったり、精神面での不安定さがあると、書かれている。ただ、医師に診断されたとは書かれていない)。
そうしたもろもろの社会状況とあいまって、多くの読者が「他人事ではない」と感じて、「ホームレス…」の2作は、ともに刊行後1年で文庫化されるヒット作となったのだろう。

著者は現在、もともとの立ち位置である小説を執筆する一方で、経済難民や家族問題に関するノンフィクションを発表したり、講演活動なども行っているようだ。
辛い時期を体験している著者と子の関係、夫婦の関係は、この先どう展開していくのだろう。そんな関心も持ちながら、著者ブログをチェックしていこうと思った次第。



09/08/06  近況です


○帰省した
7月24日に細君の実家にいった。今年も軽自動車で450kmのドライブ。ただ昨年と違い、細君が途中で1時間くらいハンドルを代わってくれたため、だいぶ楽だった。
細君と子どもはそのまま残り、ぼくだけ一足先に、7月28日に帰ってきた。
それから通常営業。夏期休業は26・27日の2日間のみ…。
ま、おそらくお盆の時期に臨時休業するだろうけど。

○帰省先にて
細君の両親は、団地の2階に住んでいる。お邪魔するたびに、息子が走り回る音が響き、下階の住人から苦情を受けてお詫びするのが毎度のこと。「走るな」「ジャンプするな」と叱ってばかりいた。
しかし今年は、息子は走ることなく、ソファからもソロリと下りて、彼なりに気を使っていた様子。
基本的に野放図なヤツだけど、そういう部分も成長しているらしい。

○ジャズコンサートに行った
1人で家に戻り、仕事と飯だけの日々を過ごす。
唯一の楽しみは、8月1日のコンサート。フリーペーパーのプレゼントに応募して招待券をゲットした、「UENO JAZZ IN 2009」を聴きに行く。

オープニングの早稲田大学学生のビッグバンドはイマイチだったが、続いて登場した沖仁のカルテットのフラメンコギターに圧倒される。ビートルズナンバーのフラメンコアレンジなんか、うねるようなベースに超絶テクが奏でるギターサウンドが重なり、背筋がゾクゾクする思いだった。
その後の、宮間利之とニューハードによるビッグバンド演奏では、日本音階によるジャズ演奏という希有な曲を体感し、平賀マリカの艶のあるボーカルに酔いしれる。
ラストのクリスタル・ジャズ・ラティーノでは、ノリのいいサルサに手拍子しっぱなし。アンコールが、スタンダードナンバー「What A Wonderful World」のラテンアレンジというところが、なかなか粋だった。

実はぼくは、ジャズは好きだけど、今回の出演者は誰も知らない。全部で4時間の長丁場だから、途中で飽きてしまうかも…と気にしていたのだけど、まったく問題がなかった。
むしろ、様々な形態の演奏やアレンジ、スタンダードナンバーからオリジナルまで、いい具合に混成されて、ミニコンサートを4つ見たようなお得感があった。

ただ一つ、残念だったのは、思わず「おお、すげぇ…」と口から漏れた言葉に、相づちを打ってくれる同行者がいなかったこと。
周囲はカップルやら熟年夫婦、グループばかり。1人きりでは盛り上がりきれないんですわ。しょうがないからビールを飲んで、ほろ酔い気分で演奏に浸ったのだった。

○仕事が…
定期物の仕事の作業量が先月から減り、納品日が近いというのに、ゆるゆると過ごしている。
長年にわたり、月末から月初めにはせっぱ詰まった状態を続けてきたので、作業の手が空いたゆるい時間を、どう過ごしていいのかわからない。で、つい本を読んだり、ネットサーフィンをして、時間を浪費してしまう。
ここ何か月かかけて、一通り営業をしたが、新規の受注はなし。手持ちの仕事もなく、日々焦りが募ってくる。



09/07/22  「安心社会」?


衆議院がやっと解散した昨晩、総選挙に向けて麻生太郎首相が「三つの約束」をした。(http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009072101297)(※リンク切れ)

「政局より政策を優先し、経済政策に専念してきたがまだ道半ばにある。確かな景気回復実現までは総理・総裁の任務を投げ出すわけにはいかない。経済を必ず回復させる。これが一つ目の約束だ」

「二つ目の約束は安心社会の実現だ。雇用、老後、子育てに不安のない社会を実現する政策を加速する。行き過ぎた市場原理主義からは決別する。パートやアルバイトの待遇を改善し、幼児教育を無償にすることにも取り組む」

「今度の総選挙は安心社会実現選挙だ。この約束が(実現)できなければ責任をとる。これが三つ目の約束だ」

最初は聞き間違えかな、と思った。次に自虐的ジョークか、と思った。
3つとも、麻生さんが“やらなかった”ことだよね?

小泉さんから始まって、安倍さん、福田さん、麻生さんと、どんな政策をしてきたのか。福祉の切り捨て、企業優遇で労働環境の悪化、一部の国民向けorバラマキの景気対策。そんな不安増進政策をやってきた結果が、今日の状況でしょ。
それをやってきたのが、あんたたちであり、自公政権でしょ。
そこんとこを棚に上げて、「経済を回復させる」「安心社会の実現」とはねぇ。

「いままで非道いことして、下げるところまで下げてきました。この先、また政権を任せてくれたら、ちょっとは上向きにさせますよ」
っていってるようなもんだ。いったい誰が信じるかっての。
でまた、「安心社会」が「実現」できなきゃ責任をとるというなら、さっさと責任をとってくださいよ。ここまで非道くした責任をとってくださいよ。

昨晩のニュースのコメンテーターが、麻生さんにしては慎重に言葉を選んでいた、危機感の表れだろう、と言ってたけど、ぼくは逆に受け取った。
麻生さんはまだ、この期に及んでも、現実から目を逸らしている。それか、現実が見えていない。
いくら言葉を言いつくろっても、国民の意識を変えさせることはできないようなことを、これまでやってきたんだよ、あんたたちは。
そして、たぶんこれからもやっていくんだろうよ、あんたたちは。



09/07/21  ホタル!


30年ぶりくらいになるだろうか、夜空を漂うホタルを見た。

うちから4、5kmのところに、地元の人たちが管理している(らしい)湿地があって、そこにホタルが自生している。という話を今年の初めに聞いて、この週末、息子と一緒に見に行った。(娘はホタルより宿題を優先した。う〜ん)

地元の人しか知らないような細い道を進み、遊歩道入り口のスペースにクルマを停めて歩いていく。すると、点滅しながら目の前を横切るほのかな光が。さっそくホタルのお出迎えだ。光が小さいから、ゲンジボタルだろうか。

湿地は、セイタカアワダチソウがかなり浸食し、先行きが案じられる状態。でもその根本の草むらの中に、ふと目を向けた葦の上に、向こうの林に、ときに2、3匹たわむれながら飛び交っていた。
足下を漂っているのが目に入り、そーっと両手で包む。開いてみたら、ぼくの両の手のひらを淡い光がほのかに照らし、ふわっと飛び立っていった。

初めてホタルを目にする息子は、はじめのうちは数えていたが、20匹を超えたあたりでやめた様子。乱舞、というほどではなかったが、光を放つ小さな生き物が、ほの暗い夏の夜空を漂う様は、実に神秘的だった。

同年代の子どもがいるご近所さんにも、教えたいけど、教えたくない。
ちょっともどかしいそんな場所が、いつまでもそこにあってほしいと願った次第。



09/07/14  子どもおやじ


「オレは2階から飛び降りることができるんだぜ」とか、勢いでつい言っちゃって、「じゃあやってみろよ」と突っ込まれたら、「おれは『飛べるかも』って言ったんだ」とか「今日は足が痛いからできない」とか、しどろもどろになっちゃうような子どもって、よくいるよね。

麻生さんを見てると、そんな子どもを連想しちゃうんだよね。
できもしないことを口走り、周囲からあれこれ言われると、すぐ引っ込めてしまう。年長者に対してとても失礼なのだけど…浮かぶ言葉は「愚図」。

意地を張ってでも周囲を突き動かしていく豪胆さはなく、根回しして人をまとめ上げていく力量もない。人望もないから、事前に相談する信頼できる人が身近にいない。孤立状態に陥ったときに、自らを律するだけの信念や自信もない。(あれば、14日(今日)と心に決めた衆議院解散の日程を、周囲の反対の声で延期するなんてみっともない事態にはならなかっただろう)まさにないないずくし。

去年の秋、満を持してという感じで自民党総裁に選ばれた御仁が、蓋を開けてみればこの程度だったとは、いやはや、自民党の劣化ぶりはどうしようもないところまできている。

来週解散、8月末に投票と、なんと1カ月以上の選挙期間が予定されている。東京都議会選挙の悪夢からなるべく時間を置きたいのはわかるが、これまたありえない日程。
まぁ今回は、野党第一党になれれば御の字ってところでしょう。かつての社会党の道を歩まないよう、せいぜい頑張ってください。



09/07/13  昆虫観察


週末に庭の草刈りをし、一休みしてたら、そのへんで遊んでいた息子&近所の子どもらが、うちの庭のプランターや植木鉢を動かし始めた。
ある子の家で、植木鉢の下にクワガタがいたことがあり、うちにもいないかと探しているのだとか。
やがて「お父さん、たいへんだ〜」と息子が呼びにきた。どれどれと行ってみると、「ほら、マイマイカブリがいた」と。
カタツムリの殻に頭を突っ込んで食べちゃう、体長8センチくらいの黒い昆虫。カタツムリはあまりいないこの庭に、マイマイカブリがいるのも面白い。「珍しいのを見つけたな」と声を掛けて、ぼくは急いで戻る。

息子が呼びに来たとき、ぼくはジガバチが巣穴を掘っているところを見ていたのだった。
ジガバチ(http://www.tbs.co.jp/seibutsu/zukan/insect/htmls/insect_17.html
は、土の中にアリのような巣穴を掘り、捕獲したイモムシを溜める。麻酔で動けないイモムシに卵を植え付け、卵から孵った幼虫は、イモムシを餌にして育っていく。そんな、なかなか風変わりなハチだ。
そのくらいの知識はあったが、実際に巣穴を掘るところを見るのは初めて。細っこい体を震わせて乾いた土に穴をうがち、前肢で抱えて運び出したり、小石を加えて放り出す仕草は、とてもけなげで一途。でまた、ちっぽけな小さな昆虫が、そんな複雑な行為をするというのが、実に不思議だ。

細君も興味を持つかな…とふと思い、声を掛けてみる。
細君は「私が巣穴を壊す」といって出てきたので、場所を教えなかった。
虫が苦手で、ハチに恐怖心を抱いている彼女には、昆虫のけなげな行為など意味をなさないのだった。

夕方、こっそり巣穴を見に行く。運び出した土が少しわかるくらいで、穴そのものはまったくわからないように見事にカモフラージュされていた。
ジガバチ、なかなかたいしたヤツです。



09/07/08  悩みどころ


クレイ(粘土)アニメ「ウォレスとグルミット」の新作映画が、夏休みに合わせて公開される。30分の短編だけど、旧作3本のデジタルリマスター版も同時上映されるから、計4本・2時間弱のお得な上映となる。
う〜ん見に行きたい、子どもらにも見せてやりたい、と思って上映館を調べる。茨城県内にはナシ。近いところだと…都内。有楽町、それか渋谷だ。

渋谷といえば、Bunkamuraミュージアムで「奇想の王国 だまし絵展」をやるな。これも見に行きたい、子どもらを連れて行ってやりたいと思ってた。
おお、それなら、2つ合わせて見に行けば、交通費も1回で済むな。ナイスアイデア!

と思って、試算する。とりあえず全員揃って行くとして。

「ウォレスとグルミット」は、安く見られる日に行くとして、@1000円で計4000円。
「だまし絵展」が大人@1400円、中・小学生が@700円で、計4200円。
あと交通費。最寄り駅から渋谷までの電車代が、大人で片道@1100円。これが3人。息子は小学生で半額として、550円。これの往復で、計7700円。

締めて、15900円。飯代を入れればざっと2万円。
だめだ、こりゃ。

問題はやっぱ、電車代だよなぁ。
クルマで行って、駐車場代を払う方が、まだ安いだろう。でも、都内の渋滞と駐車場探しを考えると、ウンザリするんだよなぁ。

茨城に住むようになって、日ごろのストレスからは解放されたけど、こういうときに悲しい思いをする。
まぁしょうがないんだけど…



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