どこで産む?2

病院と助産院のシステムの違い

  >> 定期検診
  >> 母親学級
  >> 施設
  >> 立ち会い
  >> 分娩時
  >> 産まれた赤ん坊の扱い

病院と助産院の違いについて、ぼくら夫婦のケースで記してみます。
「病院」とは、長女を産んだK病院(総合病院の産婦人科)のことで、1995年(平成7年)の体験です。
「助産院」とは、長男を産んだA助産院のことで、2002年(平成14年)の体験です。
 いずれも世田谷区内の施設です。


◆定期検診

〈病院〉
 産婦人科で、毎月1回くらい受けました。触診、内診、エコー、血液検査などで、検査内容によって3000円〜1万円前後の出費でした。細君は「内診がいや」なのと、担当医がその時々で同じでないのが不満だったそうです。

〈助産院〉
 初期、中期、後期にそれぞれ1回ずつ、指定の病院へ行き検診を受けます。その他に助産院で、助産士による触診、エコーなどを受けます(内診はナシ)。ならすと1〜2か月に1回、助産院か病院に行く程度です。費用は毎回3000円ほどでした。
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◆母親学級

〈病院〉
 病院主催の母親学級がありました。義務ではありませんが、細君は4回だったか、全部出席しました。でも座学ばかりで、あまり実りはなかったようです。
 あと、世田谷区が主催する母親学級にも参加しました。こちらで知り合った人とは、産後もしばらく連絡を取ったりしていました。

〈助産院〉
 自然なお産(アクティブ・バースといいます)のための講習会がありました。全3回のうち、より実際的な回のみ、家族みんなで出席しました。自宅出産のビデオを見たり、分娩の体位や呼吸法の練習をしたりと、なかなか面白かったです。でも当方に真剣味が足りなかったため、すぐに忘れました。
 遠方から来ている家族も多く、知り合いができるような雰囲気ではなかったです。
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◆施設

〈病院〉
 定期検診は、いわゆる病院の診察室で行います。産む部屋としては、陣痛室と分娩室があります。陣痛室はベッドとイスがあるだけの部屋です。ここでベッドに横になり、陣痛が強くなるのを待ちました。やがて分娩室に移り、分娩台で産みました。たしか母体(細君)は移動式のベッドか車いすで移動していました。
 産後は大部屋に入院。切迫流産で入院している人もいて、話題には気を遣ったようです。子どもは退院まで新生児室で過ごします。日に何度かの授乳の時間のみ、母子が顔を合わせます。1週間ほどで退院しました。

〈助産院〉
 A助産院は、ほとんど一般の住宅といっていい建物で、病院っぽい雰囲気はありません。診察するのもベッドと机がある普通の洋間でした。分娩室はさすがに特殊な造りでした。水中出産用の大きな風呂場や、天井からぶら下がっているロープ、腰掛けて産むことができるイスなど、珍しいものがいくつもあります。ベッドや大きなクッション(もたれかかる用)などは、ごく普通のものでした。
 産む前後の移動は、すべて自力で歩いてでした。難儀そうでしたが、自然分娩であれば、産後も自力で歩けます。
 入院中は、8畳くらいの畳の部屋を借りて過ごしました。母子同室です。希望すればお兄ちゃんお姉ちゃんも一緒に泊まることができます。基本は5日間ですが、細君は4日間で退院しました。
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◆立ち会い

〈病院〉
 1人だけ立ち会い可能。事前に申し込みをしました。

〈助産院〉
 制限はなく、どなたでもウェルカム、という雰囲気でした。うちは、ぼくと7歳の娘が立ち会いました。(深夜の分娩だったため、娘は部屋で寝かせておいて、赤ん坊が出てくる直前に起こして分娩室に連れていきました)
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◆分娩時

〈病院〉
 陣痛を感じ始めた段階で電話をしたら、「とにかく来い」といわれ、そのまま入院。陣痛室でひたすら横になり、“そのとき”を待ちました。でも陣痛がなかなか強くならず、長引いたため、段階的に人工的な陣痛促進処理をされました。陣痛促進剤も使いました(事前に了承してからです)。
 分娩台に登ったあともちょっと時間がかかり、しまいには、助産婦さんが台に上り、細君のお腹をぎゅうぎゅう押して、子どもを押し出しました。「こんなのアリかい」とびっくりしました。
 分娩の途中で、医者のタマゴらしい若い人たちが数人、予告もなしに入ってきて、見物していったのにも驚きました。ぼくらに一言断るべきだと思うのですが……。

〈助産院〉
 最初に破水したのですが、一度行って診断してもらい、「陣痛がくるまで家で普通に生活していなさい」と言われて帰ってきました。感染防止のための抗生剤をもらい、服用しました。その日は夕方に状況確認の電話がかかってきましたが、変化がないのでうちで過ごしました。
 翌日の夕方、様子を見せに行き、陣痛を呼ぶために歩くように指示されて、30分くらい歩いて家に帰ってきました。それが効いたか、家について間もなく陣痛が始まり、すぐにタクシーを拾って助産院に向かいました。
 まずは入院する部屋で、陣痛の間隔が縮まるのを待ちました。やがて分娩の部屋に移り、そのあとは一気呵成。……という印象をぼくは持っているのですが、細君は、「この痛みは永遠に続くに違いない」と気が遠くなるような思いをしていたそうです。着いてから7時間ほどで生まれました。
 腹を押されることもなく、薬も使わない、きわめて自然な分娩でした。
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◆産まれた赤ん坊の扱い

〈病院〉
 すぐにへその緒を切ったあと、洗い場で全身をきれいに流しました。その後しばらく、みんなで分娩室で休んだあと、子どもは新生児室へ、細君は入院の部屋へ移りました。以降退院まで、ぼくは子どもをガラス越しに眺めるだけでした。顔を見に来た両親や友人たちも同じです。

〈助産院〉
 へその緒をつけたまま、しばらく細君のお腹の上にいました。30分くらいして、へその緒の拍動が止まってから、ぼくがハサミでへその緒を切りました。子どもはタオルで拭かれただけの状態で、丸1日くらい過ごしました(体の脂などをすぐには流さない方がいいと、最近は考えられているそうです)。
 入院の部屋に移ったあと、家族みんなでしばらく昼寝。それからぼくと長女は家に帰りました。
 翌日からは、昼間はぼくは仕事、長女は友だちの家などで過ごし、夕方に長女を拾って一緒に助産院に行き、家族揃って夕食を食べました。
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